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杉並区役所でウクライナ避難民のチェロ奏者親子がゲスト演奏 支援金の呼びかけも

あたたかな拍手に包まれたロビーコンサート

あたたかな拍手に包まれたロビーコンサート

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 杉並区役所で4月18日、「区役所ロビーコンサート」が開かれ、ウクライナから避難し杉並区内で生活を送る、ウクライナ人チェロ奏者の親子が出演した。

タチアナさんとヤーナさんによる親子二重奏

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 日本フィルハーモニー交響楽団が定期的に開催するロビーコンサートにゲスト出演した、タチアナ・ラヴロワさんと、娘のヤーナ・ラヴロワさん。タチアナさんはウクライナ国立歌劇場で約30年間チェリストを務め、娘のヤーナさんはフリーランスのプロチェリストとして活躍している。

 正午過ぎから始まったコンサートには多くの区民が集まり、まずは日本フィルの弦楽四重奏団が映画「80日間世界一周」のテーマや、瀧蓮太郎の「花」などを演奏。その後、タチアナさんのソロ演奏やタチアナさんとヤーナさんによる親子二重奏を披露。アンコールでは日本フィルとタチアナさん、ヤーナさんも交えて「ふるさと」を演奏し、会場はあたたかな拍手に包まれた。

 演奏後、タチアナさん、ヤーナさん、小田原潔外務副大臣、田中良杉並区長が記者会見に応じた。

 タチアナさんはキーウ、ヤーナさんはチェルニーゴフの自宅から3月5日、避難生活に入った。日本人チェリストの友人から「日本で安全に暮らさないか」と連絡があり、ポーランド、ワルシャワと国を渡り、日本への入国ビサを取得した後、3月28日に来日した。特定活動在留資格を取得し、区役所へ住民登録や国民健康保険などの手続きで来庁。杉並区交流協会に日本語教室の相談で来所したところ、さまざまな支援が必要であることがわかった。現在はサポートチームが組まれ、友人らによる支援や、区内に事務所を構える行政書士が手続き支援やコンサートのスケジュール調整なども行っている。

 ヤーナさんは「母と一緒に演奏できたこと、またチェロを弾くことができたことがうれしい。その反面祖国には、まだ友人や親戚が残っていて、私たちだけが安全に暮らせていることに心苦しさもある」と話した。タチアナさんは「チェロを持って避難することができなかったが、このような機会をいただき大切な1日になった。Music is our life.(音楽こそ我が人生)これからも演奏を続けていきたい」と感想を話した。

 田中区長は「2人は日本で演奏する場を求め、自ら生計を立てたい、祖国の復興に役立ちたいと、志が高く尊敬している。国や都と連携し今後も避難民の方をサポートしていきたい」と話し、「明治大学の学生オーケストラとのコラボや荻窪音楽祭との連携などを予定している」と今後の企画についても説明した。

 杉並区交流協会は現在「ウクライナ緊急支援寄附金」の受け付けを開始。避難民の住居確保や子育て、教育、医療、就労などに活用するという。区役所1階「コミュかるショップ」前に募金箱を設置するほか、杉並区交流協会窓口への持ち込み、口座振込などで受け付ける。

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