杉並区立第二小学校(杉並区成田西3)で10月16日、映画「ぼくらのよあけ」公開直前特別試写会が開催された。
10月21日から全国の映画館で公開される「ぼくらのよあけ」は、「月刊アフタヌーン」(講談社)で2011(平成23)年に連載された、漫画家・今井哲也さんによるSFジュブナイルコミックをアニメーション映画化したもの。試写会は本作の主人公・沢渡悠真たちが通う小学校の舞台となった、杉並第二小学校の体育館で行われ、同校在校生や卒業生、阿佐ケ谷在住者が多数参加。同校の校舎や体育館は2024年に立て替えのため、取り壊しが決まっており、作品では在りし日の姿が残されることになった。そのほか、杉並区のキャラクター「なみすけ」がラッピングされたバスや、阿佐ケ谷駅、善福寺川緑地なども作品に登場する。
上映前には、悠真役の声を演じた杉咲花さんと、黒川智之監督が登壇し、参加者との交流会を行った。杉咲さんは「劇中の舞台になっている場所にお邪魔させていただく経験はなかなかないこと。先ほど(劇中に出てくる)げた箱にも行ってきて悠真としての時間を過ごせた気がしてワクワクした」と笑顔を見せた。黒川監督は「地元の皆さまや在校生が、なじみのある場所で映画をみるのは特別なことなので、その機会に恵まれたのは光栄なこと」と話す。制作前の2020年ごろにロケハンで同校を訪れたことを振り返り、「校庭も工事が始まる前で、その際に撮った写真を資料としてアニメ制作にいかした。学校に対する自分のイメージと実際のスケールが違っていて、ロケハンは良い経験になった」と感謝を示した。
観客とのQ&Aタイムも設けられ、小学校時代の様子を聞かれると杉咲さんは「活発だった。休み時間になると男の子たちと鼻血を出しながらドッジボールをしていた。竹馬と鉄棒にもはまっていて、竹馬は一番高くして歩いたり、鉄棒では足かけ回りをしてひたすら回ったりしていた」と話した。夢をかなえる秘訣(ひけつ)については「何がしたいのかを家族や周りの人に話すこと。そして行動を起こすこと。やってみたいという思いは周りの人と共有するようにしていた」と説く。
交流会の最後、劇場公開を前に杉咲さんは「宇宙とのつながりを感じられる夢のある物語。悠真とナナコが大切なものを信じて一歩一歩進んでいく姿は現実的で、SFとのバランスが魅力的。私はこの作品を通して自分の大切な存在を思ったり、抱き締めたい気持ちになったりしたので、皆さんにも同じような気持ちになっていただけたらうれしい」と話した。黒川監督は「友人や家族を連れて映画館とでもう一度みていただければ」と、さらなる広がりに期待を寄せる。