荻窪の「小張精米店」(杉並区南荻窪3)が9月、創業90周年を迎えた。
1933年(昭和8)年9月の創業から90周年を迎えた同店は、米の精米・販売のほか「米ぬかクッキー」「米ぬか温熱・冷感パッド」などのオリジナル商品の開発、販売なども行う。
90周年を迎え、3代目の小張正就さんは「家族が力を合わせてつないできた90年。地域の皆さまにも感謝している」と話す。
小張さんは、小学校時代の文集で「将来の夢」に「米屋(稼業を継ぐ)」と書いたが、大学では法学部に進学し、税理士資格を取得。卒業後は会計事務所で働く道を選んだ。「会計事務所では、不景気で閉店する小さな商店もあり、稼業である米屋は誰が守っていくのか、と思うようになった。その経験もあり、継ぐことのきっかけや覚悟にもつながった」と振り返る。2001(平成13)年から、父の芳男さんの下で仕事を始めた。米販売以外の商品展開をし始めたのは2011(平成23)年の東日本大震災がきっかけという。「米を仕入れていた福島の農家が打撃を受けた。米の販売だけではやっていけないと思い、新たな試みをスタートした」と話す。
2014(平成26)年には、店舗を建築デザイナーで妻の三保子さんの設計でリノベーション。2016(平成28)年には「お米の二合ギフト」でグッドデザイン賞を受賞した。料理好きの姉・裕子さんが考案した食物アレルギーがある人も食べられる「米ぬかクッキー」などは人気商品という。
9日には、ササニシキ特別栽培米で作った「米屋が作った RICE BREAD」の販売も開始する。「小麦価格の高騰や小麦アレルギーなども問題となっていることから、米を主原料とし、米油を使ったパンを作った。日本の食料自給率に貢献できる」と正就さん。バリエーションは、「白生パン(ミニ)」(250円)、「白パン」(550円)、「カラフルパン 野菜」「竹炭」(650円)、「シナモンパン(ミニ)」(350円)。同日は、創業記念のマルシェを開き、全商品を半額で販売するという。
正就さんは「米屋の概念を超えた取り組みを今後も積極的に取り入れていきたい。100年、200年続く米屋を目指し、地域の人に愛される店として商品を提供していけたら」と意気込む。
営業時間は9時~18時。日曜・祝日定休。