阿佐ヶ谷のギャラリー「白線」(杉並区阿佐谷南1)で7月16日から、阿佐ヶ谷ゆかりの3人の漫画家の原画展「阿佐ヶ谷漫画クロニクル」が12日間ずつ全6週にわたって開催される。
阿佐ヶ谷の街の実在の店舗や固有名詞、風景が登場する(C)福谷たかし
原画を展示するのは、安部慎一さん・福谷たかしさん・夏目けいじさんの3人。オーナーの斉藤慎次郎さんによると、安部慎一さん、福谷たかしさんは、自身の体験や身の回りに起きた出来事をモチーフに、 私小説ならぬ私漫画とも言うべき内省的な作品を発表。酒、音楽、恋愛、4畳半で暮らす若者の青春といったキーワードをリアルに描写している。夏目けいじさんは本展のために、水彩の描き下ろし連作を鋭意制作中。下町の面影を残した阿佐ヶ谷の街に佇(たたず)む少女の姿を、優しく叙情的なタッチで描いている。
安部慎一さんは、「ガロ」誌でデビュー。2000年代以降は寡作だが、2009年に代表作「美代子阿佐ヶ谷気分」が映画化された。同展では、「美代子阿佐ヶ谷気分」の生原稿の他、油彩・水彩による絵画作品の展示・販売も行われる。安部さんの原画展は7月16日~28日。
福谷たかしさんは、「週刊漫画TIMES」誌に「独身アパート どくだみ荘」を15年にわたり連載。作品の映画化もされ、当時の青年漫画ファンに絶大な人気を誇った。代表作「独身アパート どくだみ荘」の生原稿を展示する。福谷さんの原画展は7月30日~8月11日。
夏目けいじさんは、集英社、双葉社、芳文社などの雑誌で連載。現在は、イラスト、水彩画作品を軸としている。 本展のために描き下ろした、阿佐ヶ谷の街を描いた水彩画の展示・販売の他、 漫画作品の生原稿を展示する。夏目さんの原画展は8月13日~25日。
期間中、会場で3人の単行本未収録作品を収録した記念冊子を販売する。
斉藤さんは「これまで開催してきた展覧会やイベントの際に、今回の企画展の作家陣はいつも名前が挙がった。阿佐ヶ谷のギャラリーとして、いずれ作品を紹介させて頂きたいと機会を伺っていたのがついに実現した」と話す。
3人の作品では、スターロード、一番街、いちょう小路、区民プール、神明宮に至る小道、けやき公園、質屋、飲み屋のほか、電柱にもたくさん阿佐ヶ谷にまつわる固有名詞が登場する。
開催時間は、13時~20時。火曜定休。入場無料。