プレスリリース

スポーツテックのユーフォリアが行う「月経とケガの関係性」研究にFCふじざくら山梨が全面的に協力

リリース発行企業:株式会社ユーフォリア

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スポーツテック企業の株式会社ユーフォリア(本社:東京都千代田区、代表取締役:橋口 寛/宮田 誠、以下 ユーフォリア)のR&Dセンターは、なでしこリーグ2部所属のFCふじざくら山梨の選手全面協力のもと、女性アスリートの月経周期のうち特に「排卵期」に高まる外傷・障害(ケガ)発生リスクを行動科学的観点から調査する研究(以下 本研究)を実施したことをお知らせいたします。

スポーツの世界において、大事な試合でピークパフォーマンスを発揮するために、アスリートは身体をよい状態にキープするためのコンディショニング [注1] を行います。女性アスリートがコンディショニングを行う場合、ホルモンバランスの変動(つまり月経周期)が体調に影響を及ぼすため、科学的根拠に基づいたより綿密な体調管理が必要とされます。

しかしながら、実際は女性アスリートをとりまくスポーツ環境では長く「月経」が競技に邪魔なものとして軽視されてきた価値観があり、調査の難しさもあって研究があまり進んでこなかった背景がありました。

そこでユーフォリアのR&Dセンターは、ONE TAP SPORTSのユーザーを中心とした女性アスリートの皆さまの協力を得て2023年から2024年にかけて行った研究 [注2]において、300+名から得られた合計約3,000周期分の月経データを解析し、女性アスリートの月経周期のうち「排卵期」に外傷・障害発生リスクが1.6~2.0倍高いことを発見しました。本研究は、上記研究の続編として「排卵期」に外傷・障害発生リスクが特に高まる要因について、競技へのモチベーションや闘争心など、行動科学的観点から調査を行ったものになります。

本研究に協力していただける女性アスリートを募集しておりましたところ、FCふじざくら山梨から多くの選手の協力希望をいただきました。チームとして、「サッカーでも社会人としても活躍できる『プレイングワーカー』を輩出するクラブ」を目指すという理念ともあいまって、チーム専属トレーナーの小川楓香氏のサポートによりセルフコンディショニング意識を高めてきた選手たちとともに本研究を推進する運びとなりました。

本研究の概要と結果は以下に記載のとおりです。今回の調査結果に基づき、ユーフォリアは今後とも女性アスリートの健康障害への対策として、研究活動を継続するとともに、月経周期を考慮したコンディショニングに関する正しい知識の啓発・普及に努めてまいります。
《「『排卵期』に高まる外傷障害発生リスクを行動科学的観点から調査する研究」概要》
- 研究参加者:FCふじざくら山梨所属選手18名
※本研究への参加および研究結果の共有は研究参加者ご本人の意思に基づき適切に実施いたしました。
- 追跡期間:月経周期2周期分
- 研究責任者:山中 美和子(株式会社ユーフォリア R&Dセンター リサーチャー )
- 目的:排卵期に外傷・障害リスクが高まる理由を、月経周期中に変動する行動科学的要素(モチベーションや闘争心)により説明することができるかどうか探索的に検証する
- 検証方法:1.主要な女性ホルモン(LH、E3G、PdG)[注3]の測定・記録
(頻度:月経周期1~5日目に一度、10日目から毎日10日間程度)2.練習へのモチベーションや闘争心の主観的な評価と主観的な競技パフォーマンスの評価をONE TAP SPORTSに毎日入力




《本研究結果》
- 競技パフォーマンスやモチベーション/闘争心の値の月経周期中の変動量および変動パターンには個人差があり、一貫した傾向は見られない
- 月経痛などにより競技パフォーマンスに悪影響が出るのではないかという一般的な考えに反し、統計学的に有意な差ではないものの、月経期に競技パフォーマンスが高い日が多い選手が多かった
- 本研究における検証の過程で月経フェーズを正確に把握するために実施した月経周期10日目以降毎日のホルモン測定(尿検査キット利用)から、排卵の遅れや黄体期の短縮など、希発月経や無月経に移行する可能性がある自覚症状のない不調が女性アスリートに比較的多くみられることを再確認した

[注1] コンディショニングについて:アスリートがよいコンディションを保ち、試合に合わせてピークパフォーマンスを発揮するために行う一連の活動を「コンディショニング」と呼び、チームに所属または提携するスポーツ専門職(アスレティックトレーナーや理学療法士など)が、その知識と技術でアスリートのコンディショニング活動をサポートしています。
[注2] 2025年3月4日にプレスリリース発表しました:Incidence of Sports Injuries Across Menstrual Phases in Eumenorrheic and Abnormal Cycles in Japanese Female Athletes: A Prospective Cohort Study(Medicine & Science in Sports & Exerciseにて掲載)(「月経周期とスポーツ外傷・障害の関連の検証」)
DOI:https://doi.org/10.1249/MSS.0000000000003679
[注3] LH、E3G、PDGについて:LH:黄体形成ホルモン、E3G:エストロゲンの尿中代謝物、PdG:プロゲステロンの尿中代謝物

■研究責任者・研究参加者コメント
株式会社ユーフォリア R&Dセンター リサーチャー 山中 美和子
研究にご協力いただいた選手の皆さまには多大なるご協力をいただき心より感謝しています。今回の研究では、モチベーションや闘争心の値が月経周期中に一貫して変動するパターンは認められず、排卵期で増加する外傷・障害発生リスクを行動科学的要因から説明する科学的な根拠は得られませんでした。しかし、正確にフェーズ特定するために実施したホルモン値の追跡によって、排卵日までの日数や黄体期の日数など月経周期を追跡するだけでは得られない詳細な月経データを得られ、より充実した女性アスリートのコンディショニング支援に向けて多くの示唆を得ることができました。研究実施の過程で得られた知見も含め、女性アスリートのサポートに活かしてまいります。

FCふじざくら山梨 トレーナー 小川 楓香氏 コメント
山中様をはじめとする株式会社ユーファリアの皆さまには、研究を始めるにあたって丁寧にご説明いただき心より感謝申し上げます。今回の研究では仮説の立証は出来ませんでしたが、月経フェーズをより詳しく見ることができたことで、月経周期の記録だけではわからないホルモン不調に気づくことができました。「正常と無月経の二択ではなく、その間には段階があり自分では正常だと思っていても無月経予備軍の可能性がある」ということへの驚きもありました。選手からは「今までパフォーマンスには大きな影響を感じてはいなかったものの、細かく見ていただいたことで食事から摂るエネルギーが不足している可能性があることに気づき、運動量に対する食事の量の改善をしていきたいと思った」という声もあり、女性アスリートにとって非常に有意義な研究であったと思います。今回の学びを活かし、血液データの分析や栄養指導などチームでの取り組みを強化してまいりたいと思います。
■ONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)について:https://one-tap.jp
「ONE TAP SPORTS」は、コンディション機能・トレーニング機能・インジュリー機能などで構成され、試合や練習を通じて得られる行動データに加えて、食事メニューやケガの状態などを組み合わせて分析することにより、スポーツチームのトレーナー・コーチ・監督等の指導者が選手へ適切な指導やアドバイスを行うことを可能にするデータマネジメントシステムです。
アナログでの情報収集・管理・指導が主流だったスポーツの現場において、アスリートのコンディションなどさまざまな情報を「見える化」し、コンディション管理・ピーキング・ケガ予防をサポートしています。現在、ラグビー日本代表をはじめとする日本代表では26競技、プロチームを中心に国内外で71競技、1,700チーム以上(2024年6月時点)に導入されています。
■株式会社ユーフォリア について
ユーフォリアは「人とスポーツの出合いを幸福にする」をミッションに、スポーツの課題をテクノロジーで解決するスポーツテック企業です。スポーツ選手のコンディション管理、ケガ予防のためのSaaS型データマネジメントシステム「ONE TAP SPORTS(ワンタップスポーツ)」( https://one-tap.jp )、スクール運営のDXプラットフォーム「Sgrum(スグラム)」アプリ( https://sgrum.com )、部活動やサークル活動に取り組む学生向け無料の練習記録アプリ「SportsMate(スポーツメイト)」( https://sportsmate.jp )を開発・提供しています。さらに、これまでスポーツ界で培ってきたノウハウを生かし、一般企業のビジネス課題の解決を行う法人向け事業も推進中です。

本社  :東京都千代田区麹町4-8-1 麹町クリスタルシティ東館10階
設立  :2008年8月18日
代表者 :代表取締役/共同創業者 橋口 寛・宮田 誠
事業内容:スポーツ領域におけるシステム開発・保守・コンサルティング、スポーツデータ活用による商品開発支援事業、健康経営支援事業
URL   :https://eu-phoria.jp/


【本件に関する報道関係者お問合わせ先】
株式会社ユーフォリア 広報担当 E-mail:pr@eu-phoria.jp

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