プレスリリース

FASHION FRONTIER PROGRAM 2025 ファッションの未来を問い直す 次世代デザイナー受賞者を発表

リリース発行企業:株式会社YUIMA NAKAZATO LABORATORY

情報提供:

ソーシャルレスポンシビリティ(社会的責任)とクリエイティビティ(創造性)を併せ持つ衣服のデザインを具現化できるファッションデザイナーの発掘とサポートを行うプログラム「FASHION FRONTIER PROGRAM(ファッション・フロンティア・プログラム)」は、2025年度の受賞者を決定したことをお知らせします。
2025年12月13日(土)、TOKYO NODE HALL(東京・虎ノ門)にて、FASHION FRONTIER PROGRAM 2025のファイナリスト8名による最終プレゼンテーションが行われ、審査員による最終審査、そして授賞式が開催されました。

https://www.youtube.com/watch?v=3ri4diltEas

■FASHION FRONTIER PROGRAM 2025 受賞者について

今年で5年目を迎える本プログラムには、今年も国内外から多数の応募を頂きました。
7月に行われた一次審査では、提出されたデザイン画や企画書、ポートフォリオなどをもとに書類審査が行われ、日本、チェコ共和国、オーストラリア、オーストリア、スリランカ、韓国から16名のセミ・ファイナリストが選出されました。
16名のセミ・ファイナリストは、8月と9月の2ヶ月間、ソーシャルレスポンシビリティとクリエイティビティについての学びを深める様々な講義やワークショップに参加。
9月には、学びを経てアップデートされた自身の作品コンセプトをプレゼンテーションし、中間審査を経て8名のファイナリストが選出されました。
8名のファイナリストは、そこから実際に作品を制作し、技術アドバイスの機会なども提供されました。
12月13日の最終審査では、その作品とともに最終プレゼンテーションが行われ、審査員による厳正な審査の結果、今年の受賞者は、以下の通り決定いたしました。


左:準グランプリ_滝 直  中央:グランプリ_林 ひかり  右:準グランプリ_エミリー・ミサキ・ホン 

グランプリ|Grand Prize
林 ひかり Hikari Hayashi
“Reframing”

準グランプリ|Runner-up
エミリー・ミサキ・ホン Emily Misaki Hon
“遺物”

準グランプリ|Runner-up
滝 直 Nao Taki
“Wrap me up !”


■受賞者作品詳細

Photo by YASUNARI KIKUMA
グランプリ|Grand Prize林 ひかり Hikari Hayashi
“Reframing”

服は身体を基準に在るのではなく、基準へ身体が寄せていくことに違和感がある。
サイズ、流行、着方、他者評価。
服はいつも、誰かの決めた基準へ身を寄せ、服の寿命は成長よりも流行の速度によって決まっていく。
Tシャツはその象徴として大量に生産され、消費される。特に子供服は、成長によってすぐ役割を失う。
私はそのサイクルから外れたものに惹かれる。
織物を続けた祖母の布のように、時間をかけ、効率から離れたもの。私は細身のシルエットをプリントした子供のTシャツを解き、誰の身体にも属さない形へ変える。違和感は解消しないまま、そこに存在させ続ける。

素材:綿,ポリエステル,ボタン






Photo by YASUNARI KIKUMA
準グランプリ|Runner-upエミリー・ミサキ・ホン Emily Misaki Hon
“Relics / 遺物”

ファッションの使い捨てのサイクルは、環境を悪化させるだけでなく、職人技、アイデンティティ、そして文化的な物語を消し去っている。Relicsは、記憶とアイデンティティ、そしてつながりを抱え続けることのできる存在として衣服を再解釈する。
この作品は、私が祖父の遺品を整理する中で生まれた。擦り切れた衣服からは、豊富さではなく制約によって形作られた人生がにじみ出ていた。そのことは、私の美の感覚を不完全さの中で持続するものへと揺り動かした。
私は祖父の衣服の断片を織り直し、近隣で拾い集めたユーカリの落葉を用いて染め直した。そこには祖父と私が共有した風景が深く沁み込んでいる。
それはただのリサイクルではなく、喪失と記憶を解きほぐす行為となった。
作品は、静かに朽ちゆく気配を纏い、存在の儚さを露わにしている。



素材:コットン/シルクボイル,菌糸体レザー,祖父の服,樹皮布





Photo by YASUNARI KIKUMA
準グランプリ|Runner-up滝 直 Nao Taki
“Wrap me up !”

私は服を着る行為は一種の”遊び”であり、ジェンダーや体格の制約を受けるものではないと考えている。
本作品では、着物、相撲の帯、古代ギリシャの衣服など、巻き付けて結ぶことで身体に留める服飾文化を参照し、誰もが自由にアレンジし着られる服を目指して制作した。
サイズフリーで、巻き付け方・結び方によってシルエットが変化し、スタイリングの主導権は着る人自身に委ねられる。決められた正解がないからこそ、着ることが遊びとなり、身体の多様性が肯定される。下半身にはウエストが約4mまで伸びるニットパンツ、上半身にはパネル状のニット2枚を自由に巻き付ける構成とした。
素材にはさまざまな場所から集めたミシン残糸を使用し、環境負荷への配慮と廃棄物の削減を制作姿勢に反映している。

素材:工場残糸(ポリエステル糸/ナイロン糸),染料




■FASHION FRONTIER PROGRAM 2025 審査員について

FASHION FRONTIER PROGRAMでは、ファッションの未来を考えることを通して、衣食住の未来、ひいては人類の未来を考えるため、ジャンルを超えた、多彩な方々を審査員にご参画いただいて、ファッションとしての喜びを最大限にしながら、服を作る本当の意味を考え、何を、どのように評価していくべきか、多角的な議論が展開されています。

寒川裕人|現代美術家
栗野宏文|株式会社ユナイテッドアローズ上級顧問 クリエイティブディレクション担当
五箇公一|国立環境研究所 生物多様性領域 特命研究員
サラ・ソッザーニ・マイノ|Sozzani財団 クリエイティブディレクター
中里唯馬|ファッションデザイナー
ナニーネ・リニング|スカピノ・バレエ・ロッテルダム アーティスティックディレクター / オペラディレクター
宮田裕章|慶應大学医学部教授
渡辺三津子|ファッションジャーナリスト

■発起人中里唯馬からのメッセージ


数年前、私はアフリカ・ケニアを訪れ、高く積み上がった大量の廃棄衣料を目にし、「何かが間違っている」と感じました。大量に衣服を生み出すという行為は、経済的には理にかなっていることなのかもしれませんが、しかし、変えなければならないことが確かにあるはず、それこそがFFPを前に進めてきた原動力でした。
今年グランプリに選ばれた林さんのデザインは、本人が子供の頃に着てい小さなTシャツの一部の糸を解くことで伸縮性が増し、様々な体系の人が着られるドレスへと変化します。これこそ人と衣服の新しい関係性をデザインする行為であり、そしてそれはサステナビリティとファッションを考える上で新しい視点を私たちに示してくれています。
かつて人間が担っていた多くの仕事を生成AIがこなすようになり、経済合理性の波はさらに加速していくでしょう。そんな時代に抗うように、ファイナリストたちが悩み考え、自らの身体を使って生み出す衣服とそのメッセージの存在は、かつてないほど重要なものだと私は思います。
2021年にスタートしたFASHION FRONTIER PROGRAMは、今年で5年目という節目を迎えました。
「衣服」というものを通じ、未来を変えていくクリエイターの志を、今後も最大限称えていきます。 

主催:株式会社YUIMA NAKAZATO LABRATORY
共催:一般社団法人 unisteps 、FASHION FRONTIER PROGRAM 実行委員
後援:環境省
パートナー企業(50音順):セイコーエプソン株式会社、株式会社ゴールドウイン、株式会社 大丸松坂屋百貨店、YKK株式会社



FASHION FRONTIER PROGRAM
勇気と志を持った未来のファッションデザイナーを発掘し、称え、そして育む事が、ファッション業界だけでなく社会全体が良い方向へ変化していく原動力となるという考えのもと、 ファッションデザイナーの中里唯馬氏を発起人として2021年に設立。 プログラムは「アワード」「インキュベーション」「スカウティング」「マッチング」「ラボ」の5つの要素で構成され、期間中に提供される学びの場や参加企業や他参加者との交流、そして受賞後のサポートなど継続して関係性を構築していくことができる内容になっている。



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