高円寺の「桃園川のせせらぎを甦(よみがえ)らせるプロジェクト」が現在、3月10日の演劇上映に向けた準備を進めている。
桃園川は大正時代中ごろまで、天沼弁天池(荻窪駅北側)から湧く水が東南方向に中野区と新宿区の境の神田川まで流れる小さなせせらぎで、メダカやホタル、カエルの姿も見られたという。現在は暗渠(あんきょ=下水)となり、緑道となっている桃園川を復活させ、2020年に快適なせせらぎを取り戻そうと2016年6月に同プロジェクトが発足した。
メンバーは、演劇や文化・芸術に関心のある人たち。実行委員長の由井営太郎さんは、「由井建設」の2代目としてこれまで地域の家づくりに携わってきた。2017年2月に長男に3代目を継承し、現在は地域振興のまちづくりやコミュニティー、商店街の活性化を進める活動を行っている。
活動の第1弾として、桃園川と人々との交わりをテーマにした市民劇を上演する。由井さんは「地域のまちづくりを主導している多様な人々を巻き込み、一緒に桃園川のせせらぎをよみがえらせることを目標としている。まずは地域住民の桃園川への関心を高めるため、桃園川をテーマに地域住民が参加できる演劇を企画した」と話す。
上演予定の劇は「桃園川の河童(かっぱ)の手」。主人公は河童の桃吉で、桃吉は将軍家光の昔から桃園川に生まれ育つも暗渠化に伴いホームレスとなってしまう。桃吉に思いを寄せつつも、利根川に引っ越してOLを始めた河童の桃江との恋の行方や、下水に追いやられた河童の先祖らによる人間たちへの反乱などがストーリーとなる。
小道具、大道具、衣装、メーク、作曲、演奏、振り付けやそのほか創作サポートなどのボランティアを年齢制限なしで募集。クラウドファンディングで上演費用資金の支援も呼び掛けている。
実行委員の上原正さんは「桃園川緑道を親水公園にして憩いの場にしたいと考えている。桃園川を身近に感じてもらう市民演劇上演のクラウドファンディングに支援いただければ」と呼び掛ける。
クラウドファンディングの締め切りは11月17日。リターン品には観劇チケット、出演権、パンフレットへの名前の記載などを用意する。