高円寺の居酒屋「自由人酒場」（杉並区高円寺南4）が3月11日、オープンから12周年を迎える。

「マヂカルラブリー」の村上さんもファンという「甘口キーマカレー」

　店主の「兄やん」こと芳川安宏さんが、出身地である長野県の食材や、ウニ、イクラなどを使ったつまみと酒を提供する。店舗面積は約21平方メートル。席数は8席。屋号の由来は、妹に「お兄は自由人だ」と言われたことがきっかけという。

　20代前半から沖縄居酒屋などを経営する居酒屋チェーンに勤務していた芳川さんは、28歳でバイク事故に遭い、ICUで治療を受けた。体調が回復し「こんなにつらい思いをしたのなら、もう何でもできるだろう」と、退院後に夢だった自身の店をオープンした。

　12周年を迎え、芳川さんは「オープン当日、店にビールサーバーが届き、妹と乾杯した直後に大地震が起きた。近所に住む女性も一緒に避難した。落ち着いて店に戻ると、電車が止まっていたので、帰宅難民となり、徒歩で帰るサラリーマンをたくさん見かけた。少しでも休んでもらえればと思い店を開けて、多くの方と接することで自分の気持ちも落ち着くことができた」と振り返る。「一緒に避難した女性の彼氏が『mixi（ミクシー）』で高円寺のコミュニティーに参加をしていたの 、そのつながりで地元の人に店を知ってもらえた」とも。

　お笑い芸人「マヂカルラブリー」の村上さんもテレビで紹介するほどファンという「甘口キーマカレー」（1,080円）は、10年ほど前から提供を続ける人気メニュー。カレーを食べに遠方から来店するお笑いファンもいる。

　「来店してくれる人と人とのつながりだけでここまで続けられた。感謝の気持ちでいっぱい。狭くて入りにくい店だが、これからも応援してもらえれば」と話す。

　営業は不定期で、営業状況はSNSに掲載する。3月11日は12時～24時の「12時間営業」を予定。日中は禁煙で子連れの来店も歓迎し、整体師によるマッサージイベントも開く。